日本小児外科学会雑誌
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症例報告
右鼠径ヘルニアが疑われ紹介され腸骨下腹神経切離によりすみやかに治癒しえたACNES(Anterior Cutaneous Nerve Entrapment Syndrome)の8歳男児の1例
李 慶徳
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2017 年 53 巻 6 号 p. 1200-1205

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抄録

慢性腹痛の原因のひとつとして腹壁の前皮枝が原因となるAnterior Cutaneous Nerve Entrapment Syndrome(ACNES)がある.ACNESは認知度が低く見落とされがちであるが,小児慢性腹痛の10~30%をACNESが占めるとされ決して見過ごすべきでないと報告されている.今回我々は,腸骨下腹神経切離を施行しすみやかに治癒しえたACNESの1例を経験したので報告する.8歳男児.右鼠径部痛を主訴に整形外科医より鼠径ヘルニアを疑われ紹介となった.初診時,右下腹部恥骨上に圧痛およびCarnett signを認めた.本人および両親ともに手術を希望した.手術では審査腹腔鏡および腸骨下腹神経切離術を施行した.覚醒後より右鼠径部痛は消失した.本症例は腸骨下腹神経に関連したACNESと診断した.小児の慢性腹痛に対してACNESを常に念頭に置くべきであると思われた.

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