日本小児外科学会雑誌
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原著
頸部造影CTを用いた,喉頭気管分離術後気管腕頭動脈瘻予防のための管理方針
大倉 隆宏中原 康雄片山 修一福井 花央人見 浩介後藤 隆文青山 興司
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2018 年 54 巻 1 号 p. 40-44

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抄録

【目的】我々の施設では,喉頭気管分離術を行う場合Lindeman原法による喉頭気管分離術・気管食道吻合を行っている.その後に発症し得る気管腕頭動脈瘻(以下本症と略す)を予防するための方策として,術後に頸部造影CTを撮像してカニューレ先端の位置を調整する方法を選択している.今回,我々の本症予防策の有用性について検討し,報告する.

【方法】2006年4月より2015年12月までに当科で喉頭気管分離術を施行し,上述の方針で管理を行った39例を対象とした.頸部造影CT所見に基づき,①A群:カニューレ先端が交叉部よりも頭側に位置するもの,②B群:先端と交叉部がほぼ接しているもの,③C群:先端が交叉部を越え,尾側に位置するもの,の3群に分類した.高リスクと考えられるB群症例に対する対応,本症発症の有無と発症例における発症要因について,後方視的に検討した.

【結果】全39例の初回CT所見は,A群13例,B群12例,C群14例であった.B群の12例に対しては,短いカニューレに変更する(6例),カニューレを浅くする(5例),カニューレを抜去する(1例)として対応した.平均4.5年の経過観察期間中に本症を発症した症例はA群の1例のみであり(2.6%),他施設で他種類のカニューレに変更されていたことが要因であった.

【結論】喉頭気管分離術後の頸部CT所見に基づき,カニューレと腕頭動脈が接さず,腕頭動脈にカニューレからの物理的な力が加わらない角度に調節することで,本症の予防が可能である.

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