2018 年 54 巻 1 号 p. 96-102
症例は13歳の男児.1年ほど前から繰り返す腹痛,嘔吐,下血に対して当院小児科で精査が行われたが,確定診断には至らなかった.症状は保存的加療にて数日で軽快していた.その後,多量の吐下血を認めて,当科紹介となった.上部消化管造影検査では,Treitz靭帯の形成を認めず,右上腹部に一塊となった空腸が造影され,同部位で造影剤停滞を認めた.腸回転異常と診断し,同病変が反復する腹痛や消化管出血に関与している可能性を考え,審査腹腔鏡を施行した.空腸は線維性被膜(ヘルニア囊)に覆われ,上腸間膜動脈背側にヘルニア門を認めた.ヘルニア囊を開放すると,十二指腸下行脚はTreitz靭帯を形成せず,ヘルニア囊へ流入していた.以上より腸回転異常症に起因した右傍十二指腸ヘルニアと診断し,腹腔鏡下腸回転異常症根治術(Ladd手術+両側Bill固定)を施行した.診断に難渋し,消化管出血の原因と考えられた本症を経験したので文献的考察を含めて報告する.