日本小児外科学会雑誌
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症例報告
胎児期に臍帯ヘルニア囊内にMeckel憩室が穿孔して閉鎖後,新生児期に再穿孔したと考えられた1例
中村 睦竜田 恭介古賀 義法財前 善雄
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2018 年 54 巻 4 号 p. 961-965

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抄録

症例は日齢0の男児.在胎24週3日に超音波検査で臍帯ヘルニアを指摘された.在胎35週2日に経膣分娩で出生し,臍帯ヘルニアに対してサイロ造設術を施行した.ヘルニア囊内には陳旧性の胎便,微細石灰化及び著明な腸管癒着を認めたが,穿孔部位は特定できず,胎便の漏出も見られなかったため,穿孔は自然閉鎖したものと判断した.術後にサイロ縫縮を行ったが,日齢4にサイロ内に胆汁様排液を認めた.消化管の再穿孔を疑い,日齢6に手術を行ったところ,Meckel憩室穿孔を認めた.憩室を楔状切除し,再度サイロを造設した.術後経過は問題なく,日齢13に腹壁閉鎖術を施行した.臍帯ヘルニアにMeckel憩室穿孔を合併することは極めて稀である.さらに本症例では胎児期に穿孔したのちに穿孔部が閉鎖し,新生児期に再穿孔を起こしたと考えられる特殊な病態であったと考えられるため,文献的考察を加えて報告する.

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