日本小児外科学会雑誌
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原著
8歳未満漏斗胸患者に対するNuss法術後再発の評価
―Vertebral indexを用いたバー抜去後5年の経過観察の検討―
山本 眞弓植村 貞繁吉田 篤史久山 寿子
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2018 年 54 巻 5 号 p. 1076-1080

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抄録

【目的】低年齢漏斗胸患者の術後再発を検討するため,8歳未満でNuss手術を施行した患者の長期の胸郭形態を評価し,客観的な再発の有無を検討した.

【方法】8歳未満でNuss手術を受け,かつ10歳未満でバー抜去された症例で,抜去後5年以上の経過観察を行うことができた36例(男児28例,女児8例)を対象とした.胸部X線写真の側面像から,胸骨下端部で胸骨後面~椎体後面の距離,椎体の高さを計測し,vertebral index(VI)を算出した.計測は,抜去前,抜去直後,抜去後1年,3年,5年の値を評価した.また,抜去後5年の患者と同年齢の12~14歳術前漏斗胸患者57例(男児43例,女児14例)で術前VI値を計測し,抜去後5年のVI値と比較した.

【結果】36例の初回手術時平均年齢は5.6歳,バー抜去時平均年齢は8.0歳であった.VIの平均値は,抜去前:20.4,抜去直後:23.3,抜去後1年:24.4,3年:26.8,5年:28.3であった.抜去直後と抜去1年の比較では有意な変化は認めないが,直後と3年,5年ではそれぞれ有意差な変化を認めた.術前患者57例の平均年齢は13.03歳,VIの平均値は34.8であり,抜去後5年時のVIと比較すると有意に高かった.しかし,36例中12例が同年齢の術前VI値の-1 SDより高い値であった.

【結論】10歳未満でバーが抜去された症例は,5年後には有意にVIは大きくなった.5年経過例のうち33.3%で術前漏斗胸患者と同等のVI値であり,再発と考えられる.

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