日本小児外科学会雑誌
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原著
出生前診断の重症度からみた先天性横隔膜ヘルニアの外科的合併症の検討
右田 美里渡邉 稔彦竹添 豊志子前田 健一髙橋 正貴大野 通暢田原 和典藤野 明浩渕本 康史金森 豊
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2018 年 54 巻 7 号 p. 1311-1315

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抄録

【目的】先天性横隔膜ヘルニア(CDH)は重篤な疾患であるが治療方法の確立により生存率は改善しつつある.しかし,救命率の改善に伴い術後合併症は増加傾向にある.当院で治療を行ったCDH患者について,出生前診断の重症度と外科的合併症(再発,腸閉塞,胃食道逆流症(GERD))との関連,それらの発症時期を後方視的に検討することを目的とした.

【方法】当院で治療を行ったCDH患者のうち①出生前診断された症例,②左側症例,③isolated症例,の3つの項目を満たし,かつ生存退院した51例を対象とし,手術を要した合併症について検討した.

【結果】51例を北野分類で重症度別に分類すると,Group Iが27例(52.9%),Group IIが14例(27.4%),Group IIIが10例(19.7%)であった.パッチによる修復を行った症例はGroup Iで1例(3.3%),Group IIで7例(50%),Group IIIで10例(100%)であった.外科的合併症に対する手術は16/51例(31%)に22件の手術が行われた.横隔膜修復術8件,腸閉塞解除術6件,噴門形成術8件であった.重症度別ではGroup Iが6例(18.5%),Group IIが3例(21%),Group IIIが7例(70%)であった.総合併症数,再発,GERDはGroup IIIではGroup IとIIに比較し有意に多かった.合併症の発症時期については各合併症間に有意差を認めなかった.

【結論】当院で経験したCDHの外科的合併症について出生前診断の重症度別に検討した.再発,GERDは重症例に多い合併症であった.重症例では合併症の頻度が高く慎重なフォローが必要である.

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