【目的】腹壁異常(腹壁破裂,臍帯ヘルニア)(以下本症)は出生前診断率の向上,周術期の新生児管理の進歩,二期閉鎖の導入等により治療成績が向上している.当科における本症の治療成績について後方視的に検討した.
【方法】過去30年間の本症手術症例35例(臍帯ヘルニア21例,腹壁破裂14例)に対して患者背景,術式,治療成績,予後について検討した.
【結果】出生前診断は臍帯ヘルニア8例(38.1%),腹壁破裂10例(71.4%)であった.合併奇形は臍帯ヘルニア18例(85.7%),腹壁破裂5例(35.7%)に認め,染色体異常は臍帯ヘルニア4例(19%)に認めた.手術は臍帯ヘルニアでは一期閉鎖14例(66.7%),silo造設のみ1例(4.8%),二期閉鎖6例(28.6%)が施行され,腹壁破裂では一期閉鎖3例(21.4%),二期閉鎖11例(78.6%)が施行された.術後合併症は臍帯ヘルニアでは10例(47.6%),腹壁破裂8例(57.1%)に認めた.腹壁瘢痕ヘルニアを臍帯ヘルニア2例,腹壁破裂では1例に認め,components separation techniqueによる修復術を要した.臍の形成不全は臍帯ヘルニア3例(14.3%),腹壁破裂5例(35.7%)に認めた.生存率は臍帯ヘルニア81.0%,腹壁破裂が92.9%であった.臍帯ヘルニア4例は重症合併奇形により,腹壁破裂の1例は術後アシドーシスで死亡した.
【結論】本症の予後を左右するのは重症合併奇形の有無と考えられる.救命例にも臍形成や腹壁瘢痕ヘルニアに対する治療など問題点も多く残存し,生命予後の改善と共に中長期的治療戦略が必要である.