2018 年 54 巻 7 号 p. 1332-1335
症例は20歳の男性.18歳時に漏斗胸に対するNuss法施行後,2年間のバー留置後にバー抜去術を施行した.バー抜去後に創部から観察した限りでは出血を認めず,術直後に手術室で撮影した胸部レントゲン写真でも異常は認めなかった.しかし術翌日に左胸痛と呼吸困難感を訴えたために胸部レントゲン撮影をしたところ,左血胸を認めた.止血剤及び鉄剤の投与での保存的加療を開始した.術前14.8 g/dlであった血中ヘモグロビン値は術後3日目に9.6 g/dlまで低下したが自覚症状が消失して胸部レントゲン写真でも左血胸の改善傾向を認めたため同日退院した.術後1か月時には左血胸は胸部単純レントゲン写真上指摘できなくなり,鉄剤の内服でヘモグロビン値も正常化した.バー抜去術は入院期間の短い比較的安全な手術と報告されているが,術中術後に合併症を生じる可能性があり十分な注意が必要と考えられた.