日本小児外科学会雑誌
Online ISSN : 2187-4247
Print ISSN : 0288-609X
ISSN-L : 0288-609X
症例報告
Segmental dilatation of the duodenumに対し,病変部のtaperingが有効であった1例
馬庭 淳之介古川 泰三曽我美 朋子田中 智子東 真弓坂井 宏平文野 誠久青井 重善田尻 達郎
著者情報
ジャーナル フリー

2019 年 55 巻 1 号 p. 68-73

詳細
抄録

症例は,0生日女児.在胎19週の胎児超音波検査にて心奇形,羊水過多,腹部腫瘤を,在胎24週では左心低形成症候群を指摘され,そして,在胎28週の胎児MRIにて上腹部から骨盤にかけて約80 mmの囊胞性病変が認められた.さらに,在胎33週の胎児超音波検査にて拡張腸管壁が蠕動する所見が認められた.出生後,腹部側面撮影にて腹腔内遊離ガスを疑う液面形成が疑われ,胎便性腹膜炎の可能性が示唆されたため,日齢0に緊急開腹術を施行した.術中所見は,正常腸管より急峻に部分的に拡張した腸管(10×10×15 cm)を認め,部位及び所見よりsegmental dilation of the duodenumと考えられた.拡張部にVater乳頭が含まれており完全切除は困難であったため,自動吻合器で拡張腸管のtaperingを行った.術後,経管栄養は順調であったが,左心低形成症候群による肺高血圧症が進行し,日齢78日に永眠した.

著者関連情報
© 2019 特定非営利活動法人 日本小児外科学会

この記事はクリエイティブ・コモンズ [表示 - 非営利 - 継承 4.0 国際]ライセンスの下に提供されています。
https://creativecommons.org/licenses/by-nc-sa/4.0/deed.ja
前の記事 次の記事
feedback
Top