霊長類研究 Supplement
第34回日本霊長類学会大会
セッションID: P33
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ポスター発表
屋外放飼したヤクシマザル(Macaca fuscata yakui)における臓器重量の加齢性変化
*木村 直人山田 将也石田 崇斗星野 智紀舟橋 昂新宅 勇太伊谷 原一
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抄録

サル類の諸臓器重量の加齢性変化について,実験室内で飼育されたサル類の一部においてまとめられたものはあるが,屋外放飼された個体群についての調査は見当たらない。日本モンキーセンター(JMC)では,創立直後の1957年からヤクシマザルを群れで屋外放飼し,家系をはじめ,生年月日や死亡年月日,剖検記録などの資料が長期的に蓄積されてきた。ヤクシマザルが棲息する屋久島では,長期にわたってフィールドワークが継続され多くの成果が上がっている。群れ構成や人口動態などの調査研究が進む中で,飼育下ではあっても屋外群れ飼育を継続してきたJMCのヤクシマザルの諸資料を紐解き,諸臓器重量の加齢性変化を調べ,臓器の発育と衰えのターニングポイントを示せることができれば,フィールドワークをおこなう研究者にとっても貴重な情報となろう。本研究では,①ヤクシマザルの剖検録から生年月日と死亡年月日が明らかな160個体を対象に,脾・肝・腎・心・精巣・脳といった諸臓器の所見を精査し,病変記述のない臓器(死亡時に異常のみられない臓器)の重量データを抽出,②死亡時年齢と死亡時に異常のみられなかった臓器の重量をプロットし,臓器の発育と衰えの様子を視認化,③必要に応じて体重補正を行いながら,相関曲線から臓器重量のピーク時年齢を求め,臓器が衰えを迎え老化に向かうターニングポイントを推察することを主な目的とした。その結果,臓器重量の増減には,(ⅰ)主に加齢と体重推移に伴って増減する臓器(肝,腎,心),(ⅱ)体重の推移に影響されずS字状に増減する臓器(脾,脳),(ⅲ)体重の推移以上に増減する臓器(精巣)の3つのパターンに分類された。また,臓器重量増減の切り変わり年齢は臓器によって違いはあるものの16歳から20歳の間にあることが初めて確認され,これらのことからヤクシマザルの老化に向かうターニングポイントは10歳代後半の時期にあることが推察された。

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© 2018 日本霊長類学会
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