日本小児外科学会雑誌
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症例報告
肝間葉性過誤腫に対し硬化療法による腫瘍縮小後に腫瘍核出術を施行した1例
斎藤 浩一窪田 正幸木下 義晶小林 隆荒井 勇樹大山 俊之横田 直樹
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2019 年 55 巻 1 号 p. 83-88

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抄録

肝間葉性過誤腫は,2歳未満の乳幼児に好発する稀な良性腫瘍で,完全切除を原則とするが,巨大な場合や占拠部位によっては手術に伴う合併症の危険性が高い.今回,肝S4とS8を占拠する巨大な肝間葉性過誤腫に対し,硬化療法による腫瘍の縮小後に,腫瘍核出術を施行し得た症例を経験した.症例は1歳7か月の男児.肝腫大の精査により肝S4とS8を占拠する6.7×4.8 cmの多房性囊胞性病変を発見された.腫瘍が巨大なため,まずOK-432による硬化療法を施行し,縮小効果が得られたため,その後も約3か月おきに合計3回施行した.腫瘍は3.7×3.4 cmまで縮小し,2歳5か月時に腫瘍核出術を施行した.術後経過は良好で,術後1年6か月の現在,再発を認めていない.硬化療法を先行させた例は文献的には本例が2例目で,初回報告例でも囊胞の縮小効果を認めている.術前の硬化療法は安全な腫瘍核出術のために有用な治療戦略と考えられた.

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