症例は2か月男児.胎児診断された水頭症に対し出生後に脳室腹腔シャント術を施行され,その後遺伝子検査によりX連鎖性水頭症(XLH)と確定診断された.新生児期より腹部膨満を認めたが,嘔吐・便秘はなく,当初ヒルシュスプルング病(HD)は否定的であった.日齢80に自宅で哺乳中に呼吸停止となり救急搬送され,来院時には意識,呼吸とも回復していたが,腹部は著明に膨満していた.以後も自力排便はあったが,注腸造影および直腸粘膜生検にてHDを強く疑った.日齢101に脳室心房シャント術と人工肛門造設術を行い,同時に直腸全層生検にてHDと確定診断した.7か月時にHD根治術(Duhamel法)を施行し,以後の経過は順調であった.XLHにおいては稀にHDを合併することが知られているが,本症例,過去の報告例ともにHDの診断が遅れる傾向があり,XLH患児においては早期に積極的にHDを疑い精査する必要があると考えられた.