学童期の唾液腺芽腫を経験したので報告する.症例は12歳女児.出生時から左顎下部の腫瘤を認めていた.大きさの変化はなかったが,最近軽度の圧痛を伴うようになり,当院を紹介受診した.触診上,左顎下部に可動性良好で直径2 cmの弾性やや硬の腫瘤を認めた.本人・家族とも手術を希望したため,全身麻酔下に腫瘤を摘出した.病理診断は,唾液腺芽腫であった.唾液腺芽腫は,世界では50例ほど報告されているが,検索しえた範囲では本邦では初めての報告であった.ほとんどが4歳未満での報告であり,本症例のような学童期での診断例は非常に珍しい.術後1年半経過したが再発は認めておらず,外来にて経過観察中である.