日本小児外科学会雑誌
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症例報告
二期的手術で根治しえたD型食道閉鎖症の1例
三藤 賢志春本 研高松 由布子西原 正人水谷 祐喜子佐野 博之
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2019 年 55 巻 5 号 p. 977-982

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抄録

日齢1,女児.在胎41週5日,体重3,178 g,周産期歴に特記事項なし.持続する嘔吐のために行った胸部単純X線で,coil up signを認め当院に搬送された.同日C型食道閉鎖症の診断で気管食道瘻(以下TEF)閉鎖,食道吻合による再建を行った.日齢11に食道造影で縫合不全なきことを確認し,経口摂取を開始した.その後,発熱,CRP上昇が出現し,日齢18に嚥下造影を行ったところ気管が描出され,TEFと判断した.経口摂取は中止し,胃管栄養と予防的抗菌薬内服を行った.日齢33,39に気管支鏡検査を行い,初回にTEFを処理した箇所とは別に上部TEFを認め,D型食道閉鎖症と診断した.日齢65,最初に瘻孔へガイドワイヤーを留置した上で上部TEF切離術を行った.現在術後6か月で再発は認めていない.初回手術後に判明したD型食道閉鎖症に対して,根治術を行うにあたり十分な術前検査,準備を行うことが有用であった.

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