日本小児外科学会雑誌
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55 巻, 5 号
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おしらせ
秋季シンポジウム記録
原著
  • ―第46回九州小児外科研究会アンケートから―
    谷口 直之, 甲斐 裕樹, 松尾 進, 松浦 俊治, 田口 智章
    2019 年 55 巻 5 号 p. 920-926
    発行日: 2019/08/20
    公開日: 2019/08/21
    ジャーナル フリー

    【目的】九州小児外科研究会参加施設に臍ヘルニア治療に関する後方視的アンケート調査結果を行い,その結果に基づき臍ヘルニアのテープ固定療法の有用性を検討した.

    【方法】症例登録期間は2013年1月から2015年12月までとし,2016年6月末時点での治療結果を集計した.

    【結果】九州・沖縄・山口地区の24施設から回答を得た.臍ヘルニアの治癒判定はヘルニア門の閉鎖とする施設が最も多く,アンケート結果集計でもこの基準を採用した.テープ固定治療を受けた乳幼児は1,320例で,治癒と判定された症例が908例,非治癒と判定された症例は158例,皮膚障害による治療中止例が48例,転居などで中途脱落した症例が206例であった.自然経過観察症例は,テープ固定症例より大幅に少なく333例であった.治癒と判定されたのが146例,非治癒が111例,転居などで転帰不明が76例であった.治癒率はテープ固定群85.2%,自然経過群56.8%であり,テープ固定群の治癒率が有意に高かった(p<0.05,χ2乗検定).また治癒までの期間もテープ固定群では治癒症例の約80%の症例が治療開始から4か月以内に治癒していたのに対し,自然経過群では治癒までに1年以上かかっている症例が多かった.

    【結論】臍ヘルニアのテープ固定療法は早期に治癒が得られる利点はあるが,治癒率は従来言われてきた2歳で90%という自然治癒率を超えていなかった.今回のアンケート調査による臍ヘルニアの自然治癒率は従来言われてきたものよりも低く,臍ヘルニアの自然治癒率は前向き研究による再調査が必要と思われる.

  • 西 明, 内田 康幸, 五嶋 翼, 谷 有希子, 高澤 慎也, 黒岩 実
    2019 年 55 巻 5 号 p. 927-932
    発行日: 2019/08/20
    公開日: 2019/08/21
    ジャーナル フリー

    【目的】小児の門脈圧亢進症においては,食道胃静脈瘤に対しては内視鏡治療が,脾機能亢進に対しては部分的脾動脈塞栓療法が第一選択であるが,食道静脈瘤や脾機能亢進がコントロール困難な場合には外科的治療が必要となり,当科ではHassab手術を行う方針としてきたので,小児Hassab手術の長期成績につき検討を行った.

    【方法】当科でHassab手術を行った門脈圧亢進症5症例の長期経過について診療録をもとに後方視的に検討した.

    【結果】基礎疾患は肝外門脈閉塞症が2例,先天性肝線維症が1例,胆道閉鎖症術後が2例であった.全例で術前に吐下血を認め輸血を要していた.術前の内視鏡治療は最多で5回施行した.手術時年齢は3歳から10歳で中央値8歳であった.全例において術後は血小板減少が速やかに改善しその後も維持された.また術後経過中に肝機能の悪化は認めず,また肝性脳症発症も認めなかった.4例において術後に軽度の残存食道静脈瘤を認めたが,数回の内視鏡治療を行うことで消失し,その後は治療を必要としていない.胆道閉鎖症術後の1例はHassab手術後13年で肝移植となったが術後合併症で死亡した.他の4例は術後7~17年生存経過観察中であるが術後合併症を認めない.

    【結論】小児門脈圧亢進症例のうち肝機能が保たれ肝移植適応の可能性が低く内視鏡治療に抵抗性の食道静脈瘤を有する例においてHassab手術は有効な選択肢の一つになりうる.

  • ―自験10例からの考察―
    入江 理絵, 土岐 彰, 千葉 正博, 杉山 彰英, 中山 智理, 大澤 俊亮, 安藤 晋介, 渡井 有, 川野 晋也
    2019 年 55 巻 5 号 p. 933-938
    発行日: 2019/08/20
    公開日: 2019/08/21
    ジャーナル フリー

    【目的】先天性食道狭窄症(以下本症)は病型によって治療法も異なることが多い.今回,当科で経験した本症症例の検討から本症の治療方針について考察する.

    【方法】2000年から2015年までに当院および関連施設で経験した本症10例(平均年齢;1歳4か月,男女比;9:1)について,後方視的に検討した.

    【結果】主訴は反復性嘔吐7例,食道異物1例,嚥下困難2例であった.術前に全例食道造影が行われ,abrupt narrowingが9例,tapered narrowingが1例に認められた.さらに上部消化管内視鏡検査,超音波内視鏡検査,24hrs pH検査および食道内圧検査が行われたが術前の病型診断は困難であった.10例の病型はMB 1例,FMS 4例,TBR 4例,気管支腺遺残1例であった.治療は拡張術3例,食道狭窄部切除端々吻合7例,食道粘膜外筋層切開2例で,拡張術は1例が有効であった.拡張術が無効であった2例は狭窄部切除端々吻合術に変更し,良好な結果を得た.また,術中に噴門形成を追加したのは7例で,術後GERDは認めなかった.

    【結論】本症の病型を術前に確定することは難しい.膜様狭窄が積極的に疑われない場合は外科的切除を第一選択にするか,拡張術を行う場合は短期間少数回にとどめ,効果がない場合は速やかに外科的治療に変更すべきである.

  • 四柳 聡子, 林 豊, 西村 絵美, 石山 明日香, 長江 逸郎, 勝又 健次, 土田 明彦
    2019 年 55 巻 5 号 p. 939-944
    発行日: 2019/08/20
    公開日: 2019/08/21
    ジャーナル フリー

    【目的】2015年9月に新たな手術部位感染予防,化学熱傷予防として「オラネジン®液1.5%消毒用アプリケータ」(以下,「オラネジン®液」アプリケータ製剤)が発売された.今回我々は小児外科手術における「オラネジン®液」アプリケータ製剤の有用性について後方視的に検討した.

    【方法】2014年から2017年までに当院で施行された鼠径ヘルニア(陰囊水腫を含む)・臍ヘルニア・停留精巣の清潔手術症例を対象とした.2014年1月から2015年9月までをP群,「オラネジン®液」アプリケータ製剤を導入した2015年10月から2017年9月までをO群と定義した.気管挿管から執刀開始までの時間,術後手術部位感染症(以下,術後SSI)の発生,術後皮膚病変の有無,使用する物品のコストの4項目につき2群間の比較検討を行った.

    【結果】症例数はP群:130例,O群:164例.性差はP群:男88例,女42例,O群:男119例,女45例.平均手術時年齢はP群:39.7か月,O群:40.8か月.基礎疾患はP群:鼠径ヘルニア85例,停留精巣34例,臍ヘルニア17例.O群は鼠径ヘルニア93例,停留精巣51例,臍ヘルニア20例であった.気管挿管から執刀開始までの時間はP群:13分,O群:10分でO群が有意に短かった.術後SSIの発生はP群,O群ともに0例であったが,術後皮膚病変はP群:6例,O群:0例に発生しており,O群が有意に少なかった.使用コストについてはP群:1,000円,O群:750円でありO群が安価であった.

    【結論】小児外科手術の手術野皮膚消毒における「オラネジン®液」アプリケータ製剤の使用は,術後の有害事象はなく,手術部位感染対策・術前準備時間の短縮・コストの削減に有用であった.

  • 横井 暁子, 磯野 香織
    2019 年 55 巻 5 号 p. 945-950
    発行日: 2019/08/20
    公開日: 2019/08/21
    ジャーナル フリー

    【目的】2012年より母子健康手帳に添付された便色カードが胆道閉鎖症の早期発見及び病的出血例の減少に寄与したかを明らかにすることを目的とした.

    【方法】対象は2005年から2018年までに当院で葛西手術を受けた胆道閉鎖症41例で,カルテより後方視的に,便色カード添付前の27例(前群)と添付後の14例(後群)及び病的出血があった13例(有り群)と無かった28例(無し群)で,入院日齢,葛西手術日齢をそれぞれ比較した.また胆道閉鎖症の早期発見のための便色カードについて日本小児科学会兵庫県地方会会員を対象にメールでアンケートを配布した.

    【結果】入院日齢は前群64日(8~102日),後群62日(0~86日),病的出血は前群8例(29.6%),後群5例(35.7%),葛西手術日齢は前群70日(22~111日),後群69.5日(25~97日)で差を認めなかった.病的出血の有無では,入院日齢は有り群66日(43~86日),無し群52日(0~86日),葛西手術日齢は有り群74日(59~97日),無し群59.5日(22~111日)で,有り群が入院日齢(p=0.03),葛西手術日齢(p=0.01)とも有意に遅かった.アンケート調査は42施設から回答を得た.87%の医師が,便色カードは胆道閉鎖症の早期発見に有用と考えていたが,86%の医師が,啓蒙が必要と回答した.

    【結論】便色カードの母子健康手帳の添付は,早期発見及び病的出血例の減少には寄与していなかった.病的出血を予防するためにも早期発見の重要性が示唆された.養育者及び,産科医,小児科医,保健師を含めた医療従事者への啓蒙が必要と考えられた.

症例報告
  • 川見 明央, 増本 幸二, 千葉 史子, 田中 尚, 相吉 翼, 佐々木 理人, 五藤 周, 瓜田 泰久, 新開 統子, 高安 肇
    2019 年 55 巻 5 号 p. 951-956
    発行日: 2019/08/20
    公開日: 2019/08/21
    ジャーナル フリー

    副脾捻転は稀な病態で,特異的な画像所見に乏しく術前診断が困難であるが,近年は画像検査技術の向上と症例の蓄積により術前診断例の報告が増えている.今回我々は,外傷を契機に発症し術前診断し得た副脾捻転梗塞の1例を経験したので報告する.症例は12歳男児.友人に左側腹部を殴られ疼痛出現.受傷2日目に造影CTで左腎尾側に径4 cmの腫瘤を認め,腫瘍が疑われ当院紹介となった.超音波検査では可動性腫瘤があり,血流は認めなかった.前医CTで腫瘤から脾門部に向かう捻転した索状物を認め,MRIでは出血性梗塞を示す辺縁高信号があり,副脾捻転と診断した.受傷19日目に腹腔鏡下副脾摘出術を施行した.腫瘤は大網,結腸と癒着し,血管は4回転捻転していた.病理診断は副脾捻転梗塞であった.副脾捻転の診断は索状構造の同定が決め手となる.副脾捻転を疑う場合には可及的早期の摘出が望ましいが,症例によっては経過観察の可能性もあると考えられた.

  • 谷口 彰宏, 井上 真帆, 廣畑 吉昭, 東 真弓, 坂井 宏平, 文野 誠久, 青井 重善, 古川 泰三, 田尻 達郎
    2019 年 55 巻 5 号 p. 957-961
    発行日: 2019/08/20
    公開日: 2019/08/21
    ジャーナル フリー

    腸重積症初発から2年後の再発にて発見された,盲腸原発の若年性ポリープに悪性所見を認めた1例を報告する.症例は7歳男児.5歳時に腸重積症の非観血的整復の既往がある.今回,間欠的腹痛にて前医を受診し,腹部超音波にて腸重積症の診断で,高圧浣腸にて整復されたが再発し,再整復後に精査目的に当科へ転院となった.下部消化管内視鏡にて盲腸にIp型ポリープを認めたため,ポリペクトミーを施行したところ,若年性ポリープの先端部の一部にadenocarcinoma in situが認められた.全摘された単発病変であり,転移所見もないため,追加治療せず経過観察としている.単発性の若年性ポリープに癌化を認めることは非常に稀であるが,経過が長い症例ではその可能性を念頭に置く必要があると考えられた.

  • 村上 雅一, 矢野 圭輔, 馬場 徳朗, 春松 敏夫, 大西 峻, 山田 耕嗣, 山田 和歌, 川野 孝文, 加治 建, 家入 里志
    2019 年 55 巻 5 号 p. 962-967
    発行日: 2019/08/20
    公開日: 2019/08/21
    ジャーナル フリー

    新生児精巣捻転(以下,本症)は緊急手術の適応や対側の精巣固定の是非を含め標準化された治療戦略がない.今回,異時発症の両側新生児精巣捻転疑いの1例を含む,本症4例を経験した.症例は日齢1~10の男児.いずれも陰囊の腫大・腫瘤にて発見され緊急手術で患側の除睾術もしくは固定術を施行した.1例は5歳時の超音波検査で,対側精巣の萎縮と点状の石灰化を認め,異時性の対側捻転が疑われ現在も経過観察中である.これを踏まえ直近1例は対側検索・固定を施行した.本症は一般的に胎生期に発症し,不可逆性で緊急手術を行っても精巣温存率は極めて低い.しかし本症の7%は両側発症で,異時性に生後発症すると考えられている.そのため術中対側検索による早期発見と精巣固定術施行により,対側精巣を温存できる可能性がある.両側捻転は両側精巣と妊孕性の喪失につながるため,本症は緊急手術のうえ対側の検索および固定をすることが必要と考える.

  • 杉田 光士郎, 川野 孝文, 森口 智江, 大西 峻, 池江 隆正, 児玉 祐一, 西川 拓朗, 岡本 康裕, 加治 建, 家入 里志
    2019 年 55 巻 5 号 p. 968-976
    発行日: 2019/08/20
    公開日: 2019/08/21
    ジャーナル フリー

    【症例1】14歳男児.主訴は食欲不振・るい痩で,腹部造影CT検査で腹部腫瘤を指摘され紹介となった.下行結腸に完全閉塞を伴う全周性隆起性病変とS状結腸以下に多発polypを認めた.左半結腸切除,D2+傍大動脈リンパ節郭清を行い,stage IVの診断であった.術後化学療法を行ったが,診断から1年後に死亡した.【症例2】10歳男児.主訴は血便・腹痛.腹部造影CT検査で腸重積の診断となり紹介となった.年齢と部位より器質的疾患の存在を考え,緊急で審査腹腔鏡を施行した.横行結腸脾弯曲部の腸重積部分に腫瘤性病変を認め,悪性リンパ腫と判断し局所切除を行った.病理診断は粘液癌で,腹腔鏡下左半結腸切除とD3リンパ節郭清を追加した.Stage IIIbの診断で化学療法を施行し,術後2年無再発生存中である.【結語】小児大腸癌は極めて稀であるが,年長時の遷延する消化器症状では鑑別する必要がある.

  • 三藤 賢志, 春本 研, 高松 由布子, 西原 正人, 水谷 祐喜子, 佐野 博之
    2019 年 55 巻 5 号 p. 977-982
    発行日: 2019/08/20
    公開日: 2019/08/21
    ジャーナル フリー

    日齢1,女児.在胎41週5日,体重3,178 g,周産期歴に特記事項なし.持続する嘔吐のために行った胸部単純X線で,coil up signを認め当院に搬送された.同日C型食道閉鎖症の診断で気管食道瘻(以下TEF)閉鎖,食道吻合による再建を行った.日齢11に食道造影で縫合不全なきことを確認し,経口摂取を開始した.その後,発熱,CRP上昇が出現し,日齢18に嚥下造影を行ったところ気管が描出され,TEFと判断した.経口摂取は中止し,胃管栄養と予防的抗菌薬内服を行った.日齢33,39に気管支鏡検査を行い,初回にTEFを処理した箇所とは別に上部TEFを認め,D型食道閉鎖症と診断した.日齢65,最初に瘻孔へガイドワイヤーを留置した上で上部TEF切離術を行った.現在術後6か月で再発は認めていない.初回手術後に判明したD型食道閉鎖症に対して,根治術を行うにあたり十分な術前検査,準備を行うことが有用であった.

  • 浮田 明見, 久守 孝司, 石橋 脩一, 田島 義証
    2019 年 55 巻 5 号 p. 983-987
    発行日: 2019/08/20
    公開日: 2019/08/21
    ジャーナル フリー

    症例は14歳女児.体育の時間に突然の左側腹部痛と嘔気を自覚し,近医を受診した.胸腹部CT検査で腹腔内臓器の胸腔内脱出を認めたため,横隔膜ヘルニアの疑いで当科紹介となった.腹腔鏡下に緊急手術を行い,左Bochdalek孔ヘルニアと診断した.ヘルニア門は約10×3 cm大で,脱出臓器は著明に拡張した胃の3/4,大網,脾臓,副脾2個,結腸脾弯曲部であった.脱出臓器を還納した後に一期的に横隔膜を縫合閉鎖した.経過は良好で,術後4日目に退院した.遅発性先天性横隔膜ヘルニアの報告で,学童期以降に発症する症例は本邦で検索し得た限り17例あった.左側での発症が多く,運動に伴う腹圧の上昇が発症契機となることが示唆された.また,新生児期発症と異なり,消化器症状を呈することが多かった.早期に診断され,緊急手術が行われることが多く予後は良好であった.

  • 渡部 亮, 吉野 裕顕, 森井 真也子, 蛇口 琢, 東 紗弥, 山形 健基
    2019 年 55 巻 5 号 p. 988-992
    発行日: 2019/08/20
    公開日: 2019/08/21
    ジャーナル フリー

    17歳,男児.出生前に頸部巨大囊胞病変を指摘,生後に頸部囊胞状リンパ管奇形(LM)と診断し乳児期に計2回の硬化療法を施行した.囊胞は著明に縮小し,形成外科で余剰皮膚切除を受けた.5歳時より当院外来通院を自己中断.17歳時に野球練習中に頸椎骨折を生じ,精査で多発性骨囊胞性病変を指摘された.MRIでは頸部に明らかな囊胞病変を認めないが,頸椎,胸椎,肋骨,腸骨,脾臓に多発性囊胞病変を認め,リンパ管腫症と診断した.頸椎骨折部はその後骨癒合し,胸水・心囊水・腹水等なく,血液検査で異常ないことから,現在無治療で経過観察中である.従来の囊胞性リンパ管腫は,macrocystic typeのLMに分類され,全身疾患であるリンパ管腫症とは一般に異なる疾患群とされるが,経過中にリンパ管腫症として発症する報告もあり,LMの診断,治療に加え,長期フォローの方法,時期に関して,今後,検討が必要であると考えられた.

  • 河崎 正裕, 金川 勉
    2019 年 55 巻 5 号 p. 993-996
    発行日: 2019/08/20
    公開日: 2019/08/21
    ジャーナル フリー

    誤嚥した異物が食道内に停滞し,仮性憩室を形成した1例を報告する.症例は1歳1か月の男児で,食後の嘔吐,啼泣時喘鳴を主訴に前医を受診した.胸部X線,CT検査で食道穿通が疑われ当院に紹介された.緊急食道内視鏡検査で胸部上部食道に狭窄および樹脂フィルム片が嵌入した憩室を認めた.異物除去後,症状は消失し食道憩室は著明に縮小した.食道異物は穿孔のリスクがあり迅速に摘出する必要があるが,本例は目撃者不在で軽い症状であったため,長期に食道内に停滞し症状が悪化して診断された.慢性的に続く乳幼児の嘔吐,喘鳴を診た際には食道異物の可能性も念頭におく必要がある.

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