日本小児外科学会雑誌
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症例報告
乳児期早期に囊胞感染をきたした結腸間膜リンパ管奇形の1例
小梛 地洋渡邊 峻長島 俊介山崎 信人島田 脩平酒井 正人田中 章大緒方 公平与田 仁志黒岩 実
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2020 年 56 巻 3 号 p. 285-290

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抄録

症例は1か月男児.出生前診断で胎便性腹膜炎を疑われ,精査で多囊胞性の腹腔内リンパ管奇形と診断した.入院時,全身状態や哺乳に問題なく,腹部膨満も認めないため外来経過観察となった.日齢52に腹部膨満増強,発熱,哺乳不良で緊急入院となり,呼吸障害を認めたため緊急避難的に囊胞穿刺を行い,全身状態の落ち着いた日齢70で囊胞切除を施行した.リンパ管奇形の原発部位はS状結腸間膜から後腹膜であり,S状結腸を合併切除し摘出した.腸間膜リンパ管奇形の胎児期発見例は比較的まれであり,腹腔内の囊胞性病変や胎便性腹膜炎などと鑑別が必要であるが,診断確定後は発生部位と感染を考慮した手術時期の決定が重要である.

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