日本小児外科学会雑誌
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症例報告
空腸ポリープによる空腸空腸型小児腸重積症の1例
小野 賀功古屋 武史星 玲奈川島 弘之金田 英秀上原 秀一郎越永 従道
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2020 年 56 巻 3 号 p. 291-296

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抄録

空腸空腸型小児腸重積症の報告は回腸重積に比べ少ない.12歳女児で受診2日前から続く腹痛と繰り返す嘔吐で受診した.腹部骨盤造影CT検査で上腹部に限局性腸管拡張と腹水貯留を認め小腸腸重積症の診断で緊急手術を行い,Treitz靭帯から80 cm肛門側の空腸ポリープを先進部とする空腸空腸型小腸腸重積を認めた.重積腸管は整復不能で小腸部分切除・吻合を行い術後1年半で再発はない.二次性の空腸空腸型腸重積症は本邦で17例報告がある.本症は学童期に好発し器質的疾患は有茎性ポリープが最も多い(76%).粘血便はみられず5例(記載のある15例中)に貧血を認める.発症24時間以内に診断に至った5例は整復が可能で10 cm以内の腸管切除に留められる.また切除腸管が50 cm以上の4例は診断までの時間の中央値が3日を要している.学童期の腹痛や嘔吐の患者の診療において粘血便がなくても本症を疑い早期発見治療が重要である.

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