日本小児外科学会雑誌
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症例報告
胎児期に急速に増大し出生早期にoncologic emergencyを呈した先天性間葉芽腎腫の1例
加藤 紘隆三谷 泰之合田 太郎和田 卓三辻本 弘津野 嘉伸神波 信次上田 祐子窪田 昭男山上 裕機
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2020 年 56 巻 3 号 p. 319-323

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抄録

症例は男児で,在胎32週3日の胎児超音波検査で後腹膜腫瘍および羊水過多を指摘され当院に紹介された.羊水過多による腹部緊満感を呈し,切迫早産徴候を認めたため,羊水穿刺を行った.その後,切迫早産徴候は軽快したが,腫瘍は増大傾向を呈し,出生後に胸郭の圧排による呼吸障害の可能性があるため,在胎36週2日に帝王切開で出生した.出生体重2,638 g,アプガースコア2点(1分値)/4点(5分値)であった.出生後より腹部膨満が著明で,自発呼吸がないため,心肺蘇生処置を行いNICUに入院した.酸素化とアシドーシスが進行したため,日齢1日に緊急手術を行った.腫瘍は右腎原発であり右腎摘除術を行った.病理組織学的検査により先天性間葉芽腎腫と診断された.術後,呼吸状態や循環動態は安定し,術後45日に退院した.現在,術後12か月経過したが再発や合併症は認めていない.本腫瘍は比較的予後良好の疾患であるが,胎児期より増大しoncologic emergencyを呈することがあるため注意が必要である.

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