症例は14歳,男児.腹痛と嘔吐を主訴に近医を受診し,腹部超音波検査で下腹部正中の囊胞性病変を指摘され当科紹介となった.腹部造影CT検査で下腹部正中に腹壁と連続し,造影効果を有する厚い皮膜に覆われた90×67×46 mm大の膿瘍を認め,膀胱を頭側より圧排していた.尿膜管膿瘍と判断し,抗生剤投与により症状は改善したが,その後膿瘍の膀胱頂部内腔への突出とS状結腸への穿通も疑われたため,腹壁とS状結腸への穿通部と膀胱頂部を一塊にして切除した.病理検査結果で炎症性肉芽腫が膀胱頂部及びS状結腸へ穿通していた.他臓器へ穿通する尿膜管膿瘍は非常に稀であり,保存的治療に抵抗する尿膜管膿瘍では膿瘍が他臓器への穿通を起こすことがあり,臨床像が酷似する腹部放線菌症との鑑別を行った上で外科的治療を念頭に置く必要がある.