2020 年 56 巻 6 号 p. 926-931
【目的】先天性横隔膜ヘルニアの中で新生児期以降に発症する遅発性Bochdalek孔ヘルニア(以下,本症)は内視鏡手術の良い適応とされる.一般に,パッチを用いた先天性横隔膜ヘルニアに対する内視鏡手術は再発率が高いといわれているため,欠損孔が大きい症例では内視鏡手術の適応外となる場合がある.そこで,当科における本症に対する内視鏡手術症例について,欠損孔の大きさおよびヘルニア門の修復方法に着目して後方視的に検討した.
【方法】2015年10月~2019年9月の4年間に,当科において本症に対して内視鏡手術を施行した症例を対象とし,症例の背景,術前の状態,治療成績を診療録より後方視的に検討した.
【結果】対象期間の4年間に本症と診断された症例は7例であり,男児5例,女児2例であった.全例に内視鏡手術を行い,2例には腹腔鏡下手術を,5例には胸腔鏡下手術を施行した.欠損孔の大きさは,欠損孔サイズの国際分類でA欠損が2例,B欠損が5例であった.ヘルニア門の修復方法は全例でパッチを必要とせず,欠損孔の大きい症例でも可及的に筋性部を直接縫合した後に,遺残部のヘルニア囊を縫縮することで欠損孔を閉鎖できた.全例において横隔膜ヘルニアの再発は認めていない.
【結論】本症の横隔膜欠損孔サイズは,多くがA欠損またはB欠損であり直接縫合閉鎖できる可能性が高い.欠損孔が比較的大きい場合でも,有囊性であればヘルニア囊を縫縮することでパッチを使用せずにヘルニア門を閉鎖できることが示唆された.以上より本症は内視鏡手術の良い適応であると考えられた.