日本小児外科学会雑誌
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症例報告
高周波ラジオ波メスが有用であった脂肪芽腫の1例
矢田部 玲子五嶋 翼吉田 真理子中原 さおり
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2020 年 56 巻 6 号 p. 961-965

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抄録

症例は5歳女児.3歳時に右胸鎖関節部の腫瘤に気付き,徐々に増大してきたため5歳時に当院を受診した.右胸鎖関節部から鎖骨上に約3 cm大の軟らかい腫瘤を触知した.エコーで腫瘤は被膜を有する境界明瞭な充実性であり皮下の脂肪腫を疑ったが,深部が境界不明瞭であったためMRIを施行した.MRIでは,腫瘤はT1強調画像,T2強調画像で高信号,脂肪抑制造影T1強調画像で低信号を示し,右胸鎖関節付近の皮下から大胸筋を貫いて右腋窩に及んでいた.脂肪肉腫も鑑別に挙がったが,年齢から脂肪芽腫を疑い,全身麻酔下に高周波ラジオ波メスを用いて腫瘤を一塊に摘出した.病理診断は脂肪芽腫であった.術後5か月現在,再発を認めない.本例は視診・触診では皮下腫瘤のようであったが,実際には大胸筋筋束間を貫く特異な進展を呈していた.本症でしばしば問題となる局所再発のリスク低減のために,術前の画像診断,ラジオ波メスの使用が有用であった.

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