日本小児外科学会雑誌
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症例報告
外傷や手術創に伴う局所の浮腫・疼痛に対し通導散が有用であった2例
新開 統子増本 幸二白根 和樹堀口 比奈子根本 悠里伊藤 愛香里田中 尚相吉 翼佐々木 理人千葉 史子
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2020 年 56 巻 6 号 p. 966-970

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抄録

【はじめに】外傷による打撲と手術に伴う皮下組織の腫脹・疼痛に対し,通導散を用いて良好な結果を得た症例を経験したので報告する.【症例1】14歳男児,自転車走行中にトラックと接触し全身を打撲した.受傷後1日目から打撲部の腫脹疼痛に対し通導散と頭痛に対し五苓散を5.0 g/日で開始し,経過良好で受傷後3日目に退院した.打撲部の腫脹は受傷後6日目で軽快したため,通導散と五苓散を2.5 g/日に変更し,13日目には消失した.通導散は13日間投与した.【症例2】10歳男児,木村氏病が疑われた左下顎部の腫瘤を摘出した.顔面創部周囲の腫脹と疼痛に対し,通導散を術後1日目から2.5 g/日で7日間投与した.初回は苦味のため服用できなかったが,術後2日目からは服用でき,創部周囲の腫脹は術後2日目をピークに減少し,術後9日目には消失した.【まとめ】通導散は,局所の炎症や浮腫,疼痛を軽減させ,急性期に用いる漢方として有用であると考えられた.

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