日本小児外科学会雑誌
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症例報告
脾固定術後に胃固定を必要とした遊走脾2症例の治療経験
川野 正人武藤 充長野 綾香松井 まゆ矢野 圭輔大西 峻山田 耕嗣山田 和歌加治 建家入 里志
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2020 年 56 巻 7 号 p. 1139-1143

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抄録

遊走脾と脾臓固定不良に起因する胃軸捻転の合併はよく知られるが,脾臓固定のみで胃軸捻症状が制御可能かどうかは不詳である.我々は,retroperitoneal pouch法による遊走脾固定術後に胃壁固定の追加を要した2例を経験した.【症例1】3歳女児.脾結腸間膜と脾腎間膜の欠損,胃脾間膜の伸展をみとめた.臓器軸性胃捻転解除と脾固定を行った.食思不振と胃泡の拡張が残り,術後43日目に胃壁固定を追加した.【症例2】9歳男児.脾固定時,脾臓支持靭帯は4つ全て欠損していた.吃逆,腹痛が解消せず胃軸捻転と自然整復を繰り返していると想定し術後337日目に胃壁固定を追加した.遊走脾固定のみではいずれもゆるい臓器軸性胃捻転が残り,患児らの愁訴を解消できなかった.胃脾間膜の異常は,脾臓固定後も胃軸捻転素地として留意すべきであると考えた.遊走脾固定手術の際には,胃壁固定も同時に行うことが望ましいと考えられた.

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