日本小児外科学会雑誌
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症例報告
単孔式腹腔鏡下手術を施行した小児卵管捻転の1例
田中 夏美銭谷 昌弘野瀬 聡子廣田 誠一大植 孝治
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2021 年 57 巻 1 号 p. 54-60

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抄録

我々は様々な術式に積極的に単孔式腹腔鏡手術(TANKO)を適応してきた.卵巣を含まない孤立性卵管捻転の小児例は極めて稀であり診断に苦慮することも多いが,TANKOが診断及び治療に有用であった小児卵管捻転症例を経験したので報告する.症例は12歳女児.前日から続く腹痛と嘔気を主訴に前医受診し,CTで卵巣腫瘍茎捻転を疑われ当科へ救急搬送された.MRIで右卵管捻転が疑われて緊急手術を施行した.腹腔鏡下に観察したところ,右卵管が720度捻転して黒色に変色しており,右卵管水腫の捻転と診断した.すでに壊死に陥っているものと判断し,TANKOで右卵管摘出術を施行した.術後2日目に軽快退院した.小児卵管捻転に対するTANKOは安全かつ低侵襲で整容性にも優れており,診断及び治療にも有用であった.

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