日本小児外科学会雑誌
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原著
新生児期の手術が極低出生体重児の長期神経学的予後に及ぼす影響
山口 岳史西 明鈴木 完谷 有希子丸山 憲一土岡 丘小嶋 一幸
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2021 年 57 巻 3 号 p. 613-617

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抄録

【目的】極低出生体重児(VLBW)の出生数は増加傾向であり,またその救命率は改善傾向である.近年はその長期予後が問題とされるようになってきている.長期神経学的予後に関わる因子として,今回我々は新生児期の手術に注目し,自験例を用いて検討した.

【方法】2005年1月から2008年12月までに出生し群馬県立小児医療センターで治療されたVLBWで,6歳時に知能検査を施行している89例を対象とした.新生児期の手術の有無で2群に分け,6歳時の知能指数(IQ)を長期神経学的予後として後方視的に分析した.

【結果】対象となった症例のうち,手術群は15例,非手術群は74例であった.手術群,非手術群の6歳時のIQの平均はそれぞれ72.7,88.8であり,非手術群の方が有意に高かった(p=0.0024).

更に手術術式が長期神経学的予後に影響する因子であるかどうかを調べるため,手術群15例を動脈管開存症(PDA)手術群6例と腹部手術群9例に分けて検討した.6歳時IQの平均は80.2,67.7であり,両群の差は統計学的には有意でなかった(p=0.31).

【結論】VLBWに対する新生児期の手術が長期神経学的予後に影響を及ぼす可能性が示唆された.腹部手術群とPDA手術群の比較にでは統計学的有意差はなかった.手術群のIQの平均は境界領域であり,長期のフォローアップ,心理社会的介入,社会適合へのサポートなどが今後益々重要となる.

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