2021 年 57 巻 3 号 p. 645-651
症例は7歳男児.急性膵炎時の腹部CTで十二指腸下行脚に囊胞性病変を認め,当院紹介となり,十二指腸重複症と診断された.内視鏡下に囊胞を切開し,ドレナージ目的にERBD tubeを留置した.以後,定期診察していたが,10歳時に腹痛をきたし近医で腸閉塞症と診断され当科紹介となった.腹部CTでドレナージチューブが回腸末端に脱落し閉塞起点となっており,緊急手術を施行した.手術所見では閉塞起点の腸管内に腸石と一塊となったドレナージチューブを認め,Stent-Stone Complex(SSC)による腸閉塞と診断した.ドレナージチューブおよび腸石を摘出し閉塞を解除した.十二指腸重複症は極めて稀な疾患であり,小児例に対する内視鏡治療例の報告は少ない.またSSCは成人例の報告も少なく,検索した限りでは小児例の報告は国内で初めてである.本症例の診断と治療の経過,および合併症として生じた腸閉塞の経過を報告する.