2021 年 57 巻 3 号 p. 652-655
胆道閉鎖症手術は定型化された手術であるが,肝門部結合組織塊切除後の止血法は施設間で異なる.術後の胆汁排泄を考えると確実な止血が得られ,低侵襲であることが理想である.今回胆道閉鎖症と診断された1か月の女児に対して肝門部空腸吻合術を施行した際に止血剤アリスタAH®を使用したところ,良好な止血を得られ術後の減黄も良好であった症例を経験した.アリスタAH®の使用以外に特別な止血操作は要さず,術中術後の輸血も必要としなかった.今後症例数を増やしての検証が必要であるが,低侵襲な止血法である可能性が示唆された.