2021 年 57 巻 3 号 p. 678-683
症例は7か月男児.生後4か月頃より低血糖と高インスリン血症を伴う痙攣発作があり,先天性高インスリン血症の疑いで当院紹介となった.ATP依存性Kチャネル遺伝子に父由来の片アレル変異が存在し,PETの集積から膵尾部限局型と診断された.内科治療抵抗性のため,手術目的に当科紹介となった.病変を鏡視下の観察と小開腹下の触診で同定し腹腔鏡補助下膵尾部部分切除術を行い摘出した.摘出直後にオクトレオチド持続皮下注を中止したが低血糖には至らず,完全摘出し得たと判断した.病理組織検査では膵内分泌細胞の過形成を示した.術後は薬物・糖負荷は不要となり,術後9日目に退院.術後1か月目の持続グルコースモニタリングでも低血糖はなく,終診となった.限局型先天性高インスリン血症は,病変の摘出により後遺症なく早期の症状軽快が見込める.本症例においては,腹腔鏡を併用したことで,より低侵襲に小開腹下での完全切除を行うことができた.