日本小児外科学会雑誌
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症例報告
腹腔鏡下手術を施行した小児特発性大網捻転症の1例
高尾 智也上野 悠
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2021 年 57 巻 3 号 p. 674-677

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抄録

患者は11歳,女児.1週間前から軽度の腹痛を認めたが経過観察していた.1日前より腹痛が悪化してきたため当院を受診された.受診時,微熱と右側腹部から右上腹部にかけて著明な圧痛を認めたが,腹膜刺激症状は軽度だった.腹部超音波検査では,虫垂腫大やリンパ節腫大は認めなかったが,右上腹部に境界不明瞭且つlow echoicな腫瘤を認めた.腹部単純CT検査で大網脂肪織内にwhirl signを認め大網捻転症と診断し,徐々に腹痛が悪化し歩行困難になってきたため,同日単孔式腹腔鏡下手術を施行した.手術所見は,右上腹部で大網が捻転を起こし,捻転部大網は壊死していた.壊死した大網を臍部より体外に引き出し切除した.術後経過良好で術後3日目に退院となった.小児特発性大網捻転症は術前診断が可能であり,単孔式腹腔鏡下手術は低侵襲で有用な治療法であると考える.

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