日本小児外科学会雑誌
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症例報告
術前診断が可能であったが腸管切除を要した小腸間膜裂孔ヘルニアの1例
松久保 眞春松 敏夫武藤 充長野 綾香松井 まゆ矢野 圭輔山田 耕嗣山田 和歌加治 建家入 里志
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2021 年 57 巻 4 号 p. 735-741

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抄録

症例は15歳男児.腹痛で前医を受診したが症状改善なく,同日深夜に当科に紹介受診となった.臨床症状と検査結果には特異的な所見を認めず,急性胃腸炎を疑い入院となった.腹痛は増悪傾向で,頻回の鎮痛剤投与を必要とした.発症45時間後に撮影した造影CT検査で,小腸間膜裂孔ヘルニアによる絞扼性イレウスと診断し緊急手術を施行した.開腹所見は,小腸間膜裂孔に回腸が約90 cm嵌頓し,嵌頓解除後も色調の改善を認めず壊死腸管の切除と裂孔の閉鎖を施行した.術後は良好に経過し,術後11病日に退院した.小腸間膜裂孔ヘルニアの術前診断は困難と言われている.自験例は術前の造影CT検査で小腸間膜裂孔ヘルニアの診断が得られたが,診断の遅れのため小腸切除を余儀なくされた.開腹歴のない腸閉塞例では,鎮痛剤の使用状況を含め症状の経過の注意深い観察の必要性を痛感したことより,反省を含めて報告する.

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