日本小児外科学会雑誌
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原著
小児腹腔鏡下虫垂炎手術における局所浸潤麻酔と腹直筋鞘ブロックの術後鎮痛効果の比較検討
横山 智至堀池 正樹中岡 達雄
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2021 年 57 巻 5 号 p. 832-838

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抄録

【目的】小児の術後疼痛管理において標準的な方法は確立されていないのが現状である.今回,当院における小児腹腔鏡下虫垂炎手術の術後鎮痛法における局所浸潤麻酔(local anesthetic infiltration: LAI)と腹直筋鞘ブロック(rectus sheath block: RSB)の術後鎮痛効果を比較検討した.

【方法】対象は2009年9月から2020年8月まで,当科で行った小児緊急腹腔鏡下虫垂炎手術115例とし診療録をもとに後方視的に検討した.当初は3ポートを標準術式とし,2011年7月から全例,単孔式虫垂切除に変更した.術後鎮痛法は,2013年8月からLAIを,2018年6月からはRSBを導入した.術後鎮痛法を行わなかった57例をA群,術後鎮痛法を行った58例をB群とした.B群のうちLAIを施行した38例をLAI群,RSBを施行した20例をRSB群とした.

【結果】A群とB群の比較では,帰室時に疼痛を訴えた症例はB群で有意に少なく(40.3 vs 18.9%),初回疼痛を訴えるまでの時間はA群で有意に短かった(65.8 vs 213.4分).LAI群とRSB群の比較では,帰室時に疼痛を訴えた症例はRSB群で有意に少なかったが(23.7 vs 10.0%),初回疼痛を訴えるまでの時間については(219.6 vs 204.7(分)),有意差を認めなかった.

【結論】術後鎮痛法は帰室時に疼痛を訴える頻度を有意に減少させ,またLAIよりRSBの方が帰室時の疼痛抑制効果が有意に高かった.小児急性虫垂炎腹腔鏡下緊急手術において術後鎮痛法は,帰室時の疼痛抑制に有効で,かつLAIよりもRSBが望ましいと思われた.

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