【目的】当施設はCOVID-19クラスターを経験し厳密な院内感染対策の一環として,全入院患者を対象としたSARS-CoV-2検査のLAMP法検査(LAMP)を行っている.小児外科患者の結果を後方視的に検討し,入院時LAMPの意義について考察した.
【方法】院内感染が発生し,診療患者制限が始まった2020年4月28日から11月30日までの小児外科入院患者を後方視的に検討した.定時入院患者をA群,緊急入院患者をB群とした.緊急入院の中で気管切開がありエアロゾル発生防止のためカフ付きカニューレに変更した患者をC群とした.全症例でLAMPを行った.
【結果】A群57例(手術54例),B群30例(手術20例),C群2例(手術0例).このうち発熱を伴っていた患者(>37.5°C)はA群0例,B群7例,C群2例.気道症状および家族内感染は全例で認めなかった.LAMPはA群57例(陽性0例),B群30例(陽性0例)であったが,C群2例(陽性1例)だった.この陽性1例は嘔吐を主訴とした重症心身障害児で,即日COVID-19対応病院に転院した.転院先のLAMP再検査およびRT-PCR検査は陰性だった.
【結論】家族内感染者のいない小児外科患者に対して入院時LAMPは不要で,入院時の問診および診察で代用可能と考えられた.一方で重症心身障害児に関しては詳細な問診や診察が困難であることが多いため入院時LAMPが検討される.