日本小児外科学会雑誌
Online ISSN : 2187-4247
Print ISSN : 0288-609X
ISSN-L : 0288-609X
症例報告
幼児期に診断された脾囊胞に対し腹腔鏡下天蓋切除術を行った1例
八木 勇磨杉山 彰英川野 晋也福永 奈津吉澤 穣治渡井 有根本 哲生
著者情報
ジャーナル フリー

2021 年 57 巻 5 号 p. 866-872

詳細
抄録

症例は1歳,女児.発熱と間代性痙攣とを主訴に当院小児科に搬送となった.痙攣頓挫の後,熱性痙攣の診断で入院し,熱源精査を行った.腹部超音波検査,CT,MRIで左腎近傍に7 cmの囊胞性病変を認め,脾囊胞の疑いで手術を行った.審査腹腔鏡で囊胞の発生部位を同定して術前の診断を確定し,腹腔鏡下に天蓋切除術を行った.囊胞壁は可能な限り切除し,脾臓は温存した.病理組織所見で脾囊胞と診断された.術後1年の現在,再発はない.脾囊胞に対する適切な治療方針の検討のため,本邦報告例を中心に考察を行った.年少児では有症状となり得る大きな囊胞が見つかることは稀であるが,5 cmを超える場合は治療を考慮すべきと考えられた.

著者関連情報
© 2021 特定非営利活動法人 日本小児外科学会

この記事はクリエイティブ・コモンズ [表示 - 非営利 - 継承 4.0 国際]ライセンスの下に提供されています。
https://creativecommons.org/licenses/by-nc-sa/4.0/deed.ja
前の記事 次の記事
feedback
Top