日本小児外科学会雑誌
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症例報告
呼吸機能低下を呈し,胸腔鏡補助下に摘出した巨大胸腺脂肪腫の1例
臼井 秀仁北河 徳彦新開 真人望月 響子八木 勇磨河北 一誠都築 行広篠原 彰太城戸 哲夫
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2021 年 57 巻 5 号 p. 873-877

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抄録

胸腺脂肪腫は前縦隔に発生する稀な良性腫瘍であり,多くは無症状で偶然発見されることが多い.今回,7年の経過で肺活量低下を呈するまで巨大化した1例を経験したので報告する.11歳の女児.4歳の頃に偶然前縦隔腫瘍を指摘された.生検で胸腺過形成と診断され,画像評価を継続しながら経過観察されてきた.転居に伴い当院受診.無症状だが両側胸腔を圧排する巨大腫瘍を認め,緩徐ながら増大傾向であったため精査を行った.MRIは胸腺様の軟部組織成分と脂肪成分の混在した巨大縦隔腫瘍を示し,胸腺脂肪腫が疑われた.また%肺活量が70%まで低下しており,腫瘍切除の方針とした.仰臥位で両側胸腔よりアプローチした.胸腔鏡下に上縦郭で血管処理を行った後,両腋窩切開で腫瘍の分割切除を行うことで,安全かつ低侵襲に病変切除を施行しえた.半年後の呼吸機能検査は正常化し,術後2年経過するが再発なく経過観察中である.

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