2021 年 57 巻 6 号 p. 952-958
【目的】先天性食道狭窄症(以下,本症)における臨床的特徴を明らかにし,病型や臨床的特徴に関わらずバルーン拡張術が本症に対する治療法として第一選択になりえるかを検討することを目的に本研究を行った.
【方法】2000年1月から2018年12月までの19年間に,当施設を含む3施設において本症と診断されて治療が行われた症例を対象とし,症例背景や食道造影検査所見,選択された治療方法と治療成績を診療録から後方視的に検討した.
【結果】症例数は31例で,男児21例,女児10例であった.23例に先天異常の合併を認めたが,うち19例は食道閉鎖症であった.初回治療として20例に対してバルーン拡張術が,2例に対して狭窄部食道切除術が,1例に対して内視鏡的膜切除術が行われていた.一方,8例に対しては治療を行わずに経過観察されていた.バルーン拡張術を施行した20例については1例あたり中央値2(1~6)回拡張術が行われ,うち19例は症状が改善したが,1例はのちに食道切除術が必要であった.食道造影検査画像における狭窄部口側の食道壁がなす狭窄角を比較したところ,食道閉鎖症を合併した症例では合併しない症例に比べて狭窄角は有意に小さかった.しかし,食道閉鎖症の合併の有無でバルーン拡張術の成績に差を認めなかった.バルーン拡張術を施行した症例のうち10例に食道穿孔(疑いを含む)を発症していたが,いずれも保存的に治癒し,狭窄症状も軽快していた.
【結論】病型や臨床的特徴,食道閉鎖症合併の有無に関わらずバルーン拡張術は本症に対する治療法として第一選択になりうると考えられた.