2021 年 57 巻 6 号 p. 971-975
胃十二指腸動脈より分枝する特異な右肝動脈破格(aberrant right hepatic artery; ARHA)を伴った先天性胆道拡張症に対して,胆囊・拡張胆管切除および肝管空腸吻合を行った.症例は2歳男児,主訴は腹痛と食後の嘔吐で,腹部超音波検査で急性胆囊炎を疑う所見を認めたため,精査・加療目的に当院小児感染症科に入院となった.造影CTでは先天性胆道拡張症(IV-A型)の所見であり,胃十二指腸動脈より分枝し,肝右葉に向かって拡張胆管腹側を走行する副右肝動脈であるARHAを認めた.待機的に胆囊・拡張胆管切除および肝管空腸吻合を行い,ARHAは温存した.術後経過は問題なく,術後7日目に自宅退院となった.術前の血管走行の評価および丁寧な手術操作により,ARHAを温存することが可能であった.