日本小児外科学会雑誌
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症例報告
画像診断と気管支鏡所見が不一致であった声門下囊胞の1例
永井 太一朗大西 峻連 利博武藤 充矢野 圭輔春松 敏夫山田 耕嗣山田 和歌加治 建家入 里志
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2021 年 57 巻 6 号 p. 976-980

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抄録

声門下囊胞は比較的稀な疾患である.症例は在胎28週,1,202 gで出生した男児.出生後5日間挿管された.1歳2か月時に上気道炎,クループ症状から呼吸状態が増悪し前医に救急搬送され,心肺停止の状態となったが蘇生された.軟性気管支鏡検査では声門下腔右壁の軽度膨隆のみで,患児が呈した重篤な気道閉塞症状とは乖離しており,経過観察とされた.その後クループ症状が頻回となり,3歳で当科紹介受診となった.造影CTで声門下に5 mm大の囊胞性病変を認め,気管内外の囊胞性病変を想定して,切除手術を施行した.病変は気管外にはなく,気管切開の上,声門下を開けると,囊胞を確認,鋭的に囊胞開窓術を施行した.半年後の気管支鏡検査では左側に微小な囊胞を認めた.その後1年間の経過観察で増大なく,新たな再発病変はないため同部位にレーザー焼灼を施行し,気管切開後1年5か月で気管切開カニューレを抜去した.診療に難渋し示唆に富む声門下囊胞を経験したため,文献を踏まえて報告する.

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