2022 年 58 巻 1 号 p. 62-67
症例は7歳男児,先天性横隔膜ヘルニア術後にて外来経過観察中の患児.1歳6か月時,スクリーニングの腹部エコーで肝下面に接する異所性脾を右季肋部に確認した.腹部症状,脾臓の遊走,脾機能亢進,脾梗塞などを認めないため経過観察の方針とした.その後も定期的に画像検索を継続していたが,7歳時のMRIにて骨盤内への脾臓の移動を認め,脾臓が原因と思われる膀胱圧迫症状も出現したため手術加療の方針となった.腹腔鏡下に手術を開始したが,癒着により脾動静脈根部の観察が困難であったため,上腹部に小開腹を追加し,腹腔鏡補助下に脾固定術を施行した.固定部位は左背側部とし,固定方法はretroperitoneal pouch法を選択した.術後は造影CTにて脾腫や血流障害を示唆する所見もなく経過良好である.我々が検索しえた範囲では,先天性横隔膜ヘルニア術後の遊走脾に対し腹腔鏡補助下脾固定術を施行した報告は本邦では初であり,文献的考察を加えて報告する.