日本小児外科学会雑誌
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症例報告
停留精巣固定術後の陰囊部腫脹に対する治打撲一方の使用経験
増田 吉朗中村 晶俊田口 匠平
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2022 年 58 巻 2 号 p. 173-177

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抄録

治打撲一方は外傷による腫脹疼痛に用いられる漢方薬で,近年では術後腫脹・血腫に対する使用が報告されている.今回,我々は停留精巣固定術後の陰囊部腫脹に対し,治打撲一方を使用した症例を経験したので報告する.2017年6月から2019年12月に当科で精巣固定術を行った43例のうち,本剤を処方した25例を検討した.手術時年齢中央値2歳(0歳7か月~13歳),体重は中央値10 kg(7.6~53 kg),投与期間は中央値7日(6~56日).本剤の処方量は0.2~0.3 g/kg/日であった.外来主治医が陰囊部の腫れを3段階(陰囊部及び精索の腫脹がいずれも改善:A,陰囊部の腫脹は改善し,精索肥厚のみ残存:B,陰囊部および精索の腫脹がどちらも残存:C)で評価した.局所の腫脹改善の程度は,A:15例(60%),B:7例(28%),C:3例(12%)であった.当科での経験では治打撲一方の投薬により術後牽引指導の際に問題となり得る皮下血腫を伴う術後陰囊部腫脹の改善を認めた.

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