2022 年 58 巻 5 号 p. 799-803
症例は日齢11女児.胆汁性嘔吐を主訴に近医入院となった.ミルクアレルギーが疑われアレルギー用ミルクに変更されたが,その後も胆汁性嘔吐が持続したため精査目的に当院に紹介転院となった.小腸造影検査にてトライツ靭帯より約50 cmの空腸に狭窄像を認め,先天性空腸狭窄症の術前診断にて開腹手術を施行した.トライツ靭帯より45 cmの空腸に狭窄を認め,同部位を切除した.切除腸管の内腔には4/5周にわたり腫瘤が存在し,狭窄の原因となっていた.術後4日から経口摂取を開始し,経過良好にて術後25日に退院となった.病理組織学的所見では,楕円形~卵円形の核を持つ紡錘形の細胞が束状に増殖しており,乳幼児筋線維腫症(infantile myofibromatosis, solitary type)の診断に至った.全身検索においては他臓器に腫瘤性病変はなく,小腸孤発型の乳幼児筋線維腫症として後治療は行わなかった.術後6年経過し再発はない.