2022 年 58 巻 5 号 p. 804-808
1歳3か月,男児,主訴は右陰囊腫大.生後7か月時より右移動性精巣に対して外来経過観察中,右陰囊の腫大を認めた.右陰囊内に表面平滑で弾性硬の腫瘤を触知し,超音波検査で囊胞を有する長径約2 cmの腫瘤性病変を認めた.術前診断として精巣捻転後変化もしくは良性精巣腫瘍が考えられ,手術の方針となった.手術は陰囊アプローチで腫瘤を摘出し,術中迅速病理検査では悪性所見を認めず,精巣を温存した.病理学的所見にて,囊胞は線毛・立方・扁平上皮に覆われ,囊胞壁内に気管支腺様構造や軟骨組織,脳組織を認めたため,成熟奇形腫と診断した.術後半年経過し,患側精巣の萎縮や腫瘍の再発は認めていない.小児精巣疾患の外来経過観察中に陰囊腫大を認めた場合,精巣腫瘍の合併も念頭に置くべきである.