日本小児外科学会雑誌
Online ISSN : 2187-4247
Print ISSN : 0288-609X
ISSN-L : 0288-609X
症例報告
総胆管Y字開口を伴った先天性多発十二指腸閉鎖症の1例
山田 耕治石本 健太
著者情報
ジャーナル フリー

2022 年 58 巻 5 号 p. 815-819

詳細
抄録

多発十二指腸閉鎖は稀であり,また総胆管Y字開口も稀である.今回,極めて稀な総胆管Y字開口を伴う先天性多発十二指腸閉鎖症の1例を経験した.症例は心奇形合併21-trisomyの男児.胎児エコーで十二指腸閉鎖を疑われ,当院で出生後の胃管排液は胆汁性で,単純X線像でdouble bubble signを呈し,腹部エコーでwhirl signなく,十二指腸閉鎖の診断で1生日に手術を施行.離断型閉鎖と判断し,diamond吻合を行うべく切開したところ,球部盲端にpinholeを認め,ゾンデを挿入すると下行脚切開部口側の粘膜下に到達した.膜様閉鎖合併を疑い切開したところ,胆汁流出とともにゾンデ先端が露出し,胆囊圧迫にて球部pinholeからも胆汁排出を認めたため,総胆管Y字開口を伴う離断型閉鎖の肛側に膜様閉鎖が合併した病態と判断し,膜様物を可及的に切開した上でdiamond吻合を行った.十二指腸閉鎖症は稀ではないが,手術に際しては多発閉鎖や総胆管Y字開口の可能性を念頭に置いておく必要がある.

著者関連情報
© 2022 特定非営利活動法人 日本小児外科学会

この記事はクリエイティブ・コモンズ [表示 - 非営利 - 継承 4.0 国際]ライセンスの下に提供されています。
https://creativecommons.org/licenses/by-nc-sa/4.0/deed.ja
前の記事 次の記事
feedback
Top