2022 年 58 巻 5 号 p. 820-826
本邦では小児がんに陽子線治療を行うにあたって腹腔鏡下卵巣移動術を施行した報告は少ない.当院の経験について報告する.【症例1】1歳,膣原発横紋筋肉腫.化学療法後に腫瘍切除術を施行し,断端陽性のため陽子線治療を選択した.両側卵管を温存し,両側卵巣を照射野外へ移動した.術後2か月で復位し,現在6歳で経過良好である.【症例2】4歳,膣原発横紋筋肉腫.化学療法後,残存病変に対して陽子線治療を選択した.両側卵管を温存し,両側卵巣を照射野外へ移動した.術後1年2か月のFSH,LHは年齢相当だった.現在5歳で経過良好である.【症例3】11歳,左恥骨原発Ewing肉腫.化学療法後,局所治療として陽子線治療を選択した.左側卵管を切離し,両側卵巣を照射野外へ移動した.多発転移性再発のため術後9か月に死亡した.3例とも腹腔鏡下に両側卵巣を移動することができた.術後の卵巣機能の評価は今後の課題である.