2022 年 58 巻 7 号 p. 984-991
小児副腎皮質癌は予後不良な悪性腫瘍である.今回我々は一期的切除が困難であった進行副腎皮質癌に対し,術前薬物療法後に安全に腫瘍を完全切除し長期生存を得た乳児例を経験したので報告する.症例は5か月女児.腹部腫瘤を主訴に紹介され,CT検査で肝浸潤,リンパ節転移を伴う右副腎腫瘍と診断された.開腹生検にて右副腎皮質癌と診断し,薬物療法により腫瘍の縮小を得たのちに右副腎と肝後区域を一塊にして摘出し,領域リンパ節も含めて腫瘍を肉眼的に全摘し得た.術後薬物療法を行い治療終了とし,術後2年7か月再発はない.小児副腎皮質癌治療では腫瘍の完全切除が肝要だが,薬物療法の効果は確立していない.本邦報告例の検討では進行例の長期予後は全般に不良だったが,mitotaneと他の抗腫瘍薬との併用が長期生存と相関していた.一期的切除が困難な進行例においても術前多剤併用療法と腫瘍の完全切除により長期生存が期待できると考える.