2022 年 58 巻 7 号 p. 992-995
症例は11歳男児.腹痛・嘔吐を主訴に救急外来を受診,腹部超音波・CTにて腸重積と診断された.非観血的整復の後に緊急入院,症状再燃なく5日目に退院となった.初回の腸重積から3週間後に腹痛が再燃,腹部超音波で腸重積と診断された.非観血的整復の後に緊急入院,入院3日目に手術を施行した.腹腔鏡下の観察で,回腸末端から口側50 cmの回腸に漿膜の陥凹を認め,同部に腫瘤を触知した.臍部創から体外に引き出し小腸部分切除術を施行した.病理組織学的検査では広基性の真性憩室を認め,憩室入り口を被覆するように粘膜の架橋を認めた.架橋部分に筋層はなく,「Mucosal bridgeを伴ったメッケル憩室」と診断した.術後経過は良好で,術後6日目に退院,以後は症状の再燃を認めていない.我々が調べた範囲ではmucosal bridgeを伴ったメッケル憩室の報告は過去になく本症例が初と思われた.