日本小児外科学会雑誌
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おしらせ
追悼文
原著
  • 臼井 秀仁, 新開 真人, 北河 徳彦, 望月 響子, 八木 勇磨, 奥村 一慶, 川見 明央, 大関 圭祐
    2022 年 58 巻 7 号 p. 966-971
    発行日: 2022/12/20
    公開日: 2022/12/20
    ジャーナル オープンアクセス

    【目的】腹部リンパ管奇形(lymphatic malformation,以下LM)は腹部リンパ管腫とも呼ばれる稀な疾患で,急性腹症や腹部膨満を発症し,緊急の診断・処置を迫られることがある.一方で無症状のまま発見される場合もあり,本疾患の適切な治療方針は確立されていない.当院での経験を検討し,特に感染・炎症例へのドレナージの有効性を報告する.

    【方法】1997~2016年の20年間に当院で腹部リンパ管腫(腹腔内,後腹膜)の病名で加療した患者28例を対象とした.診療録を後方視的に検討した.

    【結果】診断時年齢は中央値で3歳であった.有症状例は24例で,発症機転は感染・炎症10例,囊胞内出血4例,非感染非出血腫大2例,捻転2例,その他6例であった.有症状24例に対し介入を行った.感染・炎症を除く14例中13例(92.9%)で摘除術を施行した.感染・炎症の10例は,1例に緊急摘除を行ったが,9例で抗生剤単独あるいはドレナージを加えることで感染は沈静化した.その後,1例がイレウスを合併し手術を要したが,8例は待機的アプローチを選択でき,硬化療法1例,摘除2例を行い,他の5例では介入を要さず退縮した.その後の再燃は認めていない.

    【結論】有症状の腹部LMは摘除の適応であるが,感染・炎症例では抗生剤単独あるいはドレナージを加えることにより外科摘除なしで退縮へと繋げる待機的アプローチも選択肢のひとつとなりうると考えられた.

症例報告
  • 吉永 駿, 大片 祐一, 渡部 彩, 吉村 翔平, 植村 光太郎, 宮内 玄徳, 中谷 太一, 冨岡 雄一郎, 尾藤 祐子
    2022 年 58 巻 7 号 p. 972-977
    発行日: 2022/12/20
    公開日: 2022/12/20
    ジャーナル オープンアクセス

    症例は1歳3か月男児.先天性食道閉鎖症(以下,EA)(Gross分類C型)の根治術の際,下部食道における先天性食道狭窄症(以下,CES)の合併が疑われた.術後の哺乳と体重増加は良好であったが,離乳食を開始した生後7か月頃から頻回の嘔吐が出現し,超音波内視鏡検査の所見から気管原基迷入型のCESを疑った.1歳3か月時に先天性食道狭窄部切除および食道食道吻合術を行った.CESの吻合部にかかる緊張が強い所見であったため,食道吻合後にIndocyanine green(以下,ICG)蛍光法を用いて吻合部の血流評価を行い吻合部の血流が保たれていることを確認した.術後CESの吻合部狭窄を認めたが内視鏡的バルーン拡張術により改善し,3歳となった現在,普通食を摂取し体重増加も良好である.EA術後のCES食道吻合におけるICG蛍光法を用いた吻合部血流評価に関して文献的考察を交えて報告する.

  • 春野 覚史, 福田 篤久, 川久保 尚徳, 小幡 聡, 永田 公二, 松浦 俊治, 田尻 達郎
    2022 年 58 巻 7 号 p. 978-983
    発行日: 2022/12/20
    公開日: 2022/12/20
    ジャーナル オープンアクセス

    症例は6歳男児.胸腹部痛と発熱を主訴に当院小児科入院.入院時血液検査所見では,CRPおよびLDHの上昇を認めた.入院後に腹痛増悪を認めたため当科紹介となった.腹部CTでは壁肥厚を伴った小腸の左側偏位および結腸の固定不良が示唆された.急激な腹痛の進行から小腸軸捻転や内ヘルニアの可能性を考え緊急手術を行った.手術所見では,空腸の静脈鬱滞所見および13×16×65 mmのLandzert窩を認め左傍十二指腸ヘルニアと診断した.腸管血流は保たれておりヘルニア解除およびヘルニア門の閉鎖を行った.左傍十二指腸ヘルニアはTreitz靭帯周囲の腹膜窩に腸管が嵌入して生じる内ヘルニアであり,診断に有用なCT所見としてのsac-like appearanceを術後の再評価で認めた.今回,我々は術前診断困難であった左傍十二指腸ヘルニアの1例を経験したので,若干の文献的考察を加えて報告する.

  • 小関 元太, 中田 光政, 照井 慶太, 小松 秀吾, 山下 喜晴, 力石 浩志, 日野 もえ子, 齋藤 武, 菱木 知郎
    2022 年 58 巻 7 号 p. 984-991
    発行日: 2022/12/20
    公開日: 2022/12/20
    ジャーナル オープンアクセス

    小児副腎皮質癌は予後不良な悪性腫瘍である.今回我々は一期的切除が困難であった進行副腎皮質癌に対し,術前薬物療法後に安全に腫瘍を完全切除し長期生存を得た乳児例を経験したので報告する.症例は5か月女児.腹部腫瘤を主訴に紹介され,CT検査で肝浸潤,リンパ節転移を伴う右副腎腫瘍と診断された.開腹生検にて右副腎皮質癌と診断し,薬物療法により腫瘍の縮小を得たのちに右副腎と肝後区域を一塊にして摘出し,領域リンパ節も含めて腫瘍を肉眼的に全摘し得た.術後薬物療法を行い治療終了とし,術後2年7か月再発はない.小児副腎皮質癌治療では腫瘍の完全切除が肝要だが,薬物療法の効果は確立していない.本邦報告例の検討では進行例の長期予後は全般に不良だったが,mitotaneと他の抗腫瘍薬との併用が長期生存と相関していた.一期的切除が困難な進行例においても術前多剤併用療法と腫瘍の完全切除により長期生存が期待できると考える.

  • 遠藤 耕介, 佐藤 誠二, 山崎 伸悟, 尾松 憩, 神田 修平, 佐々木 真之, 岸本 光夫, 松尾 宏一, 山本 栄司
    2022 年 58 巻 7 号 p. 992-995
    発行日: 2022/12/20
    公開日: 2022/12/20
    ジャーナル オープンアクセス

    症例は11歳男児.腹痛・嘔吐を主訴に救急外来を受診,腹部超音波・CTにて腸重積と診断された.非観血的整復の後に緊急入院,症状再燃なく5日目に退院となった.初回の腸重積から3週間後に腹痛が再燃,腹部超音波で腸重積と診断された.非観血的整復の後に緊急入院,入院3日目に手術を施行した.腹腔鏡下の観察で,回腸末端から口側50 cmの回腸に漿膜の陥凹を認め,同部に腫瘤を触知した.臍部創から体外に引き出し小腸部分切除術を施行した.病理組織学的検査では広基性の真性憩室を認め,憩室入り口を被覆するように粘膜の架橋を認めた.架橋部分に筋層はなく,「Mucosal bridgeを伴ったメッケル憩室」と診断した.術後経過は良好で,術後6日目に退院,以後は症状の再燃を認めていない.我々が調べた範囲ではmucosal bridgeを伴ったメッケル憩室の報告は過去になく本症例が初と思われた.

  • 新開 統子, 増本 幸二, 川上 肇, 田中 保成, 西潟 綾, 後藤 悠大, 大河内 信弘, 石黒 聡尚, 坂本 規彰
    2022 年 58 巻 7 号 p. 996-1004
    発行日: 2022/12/20
    公開日: 2022/12/20
    ジャーナル オープンアクセス

    【はじめに】肝間葉性過誤腫(以下本症)は主に3歳までの乳幼児に見られる肝臓の良性腫瘍であるが,未分化胎児性肉腫の発生母地となる可能性が指摘されている.自験2例の臨床所見を中心に,本邦報告81例の臨床的特徴を検討した.【症例】症例1:5歳女児.主訴は腹痛.肝左葉外側区域に15 cmの多房性囊胞性腫瘤を認めた.AFP上昇なし.本症の術前診断で肝左葉外側区域切除を施行した.症例2:15歳女性.主訴は腹痛.肝右葉後区域に径8 cmの囊胞壁に歯牙様の石灰化を伴う多房性囊胞性腫瘤を認めた.AFP,βHCGの上昇なし.肝奇形腫の疑いで,拡大肝後区域切除を施行し,病理組織検査で本症と診断した.【まとめ】自験例はいずれも術後3年以上を経過し再発を認めていないが,本邦報告例81例では再発を3例に認め,うち1例は悪性転化が疑われた.本症の生物学的特性を考慮し,腫瘍の完全切除を行うことが重要と考えられた.

  • 橋詰 直樹, 米田 光宏, 渡辺 栄一郎, 古金 遼也, 小林 完, 森 禎三郎, 狩野 元宏, 高橋 正貴, 金森 豊, 藤野 明浩
    2022 年 58 巻 7 号 p. 1005-1010
    発行日: 2022/12/20
    公開日: 2022/12/20
    ジャーナル オープンアクセス

    重症心身障碍者は時に空気嚥下による腹部膨満を来たし,腸管拡張を伴ったイレウスの原因になる.我々はFarrell*Valveバッグを使用し,胃内減圧にて腸管ガス貯留改善を認めた1例を経験した.症例は24歳の女性,Cornelia de Lange症候群にて4歳時に噴門形成,胃瘻造設術,21歳時に回盲部捻転にて捻転解除術を施行された.外来通院時も呑気による腹部膨満,胃瘻漏れが認められた.今回,嘔気,腹部膨満にて当院救急外来を受診し,回盲部捻転再発を認め捻転解除術が施行された.術後も腸管ガス貯留による腹部膨満,経腸栄養が施行困難な状況が続き,胃内持続減圧が保てるFarrell*Valveバッグを使用した.胃内が減圧され,腸管ガス貯留が減り腹部症状が緩和された.また胃瘻漏れも改善された.本症のような腸管ガス貯留を来たす場合,Farrell*Valveバッグの使用は有効な方法であると示唆された.

  • 堀内 俊男, 眞田 幸弘, 大豆生田 尚彦, 平田 雄大, 岡田 憲樹, 大西 康晴, 佐久間 康成, 山口 博紀, 佐田 尚宏
    2022 年 58 巻 7 号 p. 1011-1016
    発行日: 2022/12/20
    公開日: 2022/12/20
    ジャーナル オープンアクセス

    自己肝温存胆道閉鎖症の長期経過観察中に肝内胆管癌を認めた1例を報告する.25歳男性.日齢78にIII-a1-νの胆道閉鎖症に対して逆流防止弁付き肝門部空腸吻合術を施行した.21歳時に超音波検査で肝右葉に囊状肝内胆管拡張を認め,bile lakeとして経過観察した.25歳時に黄疸を伴う胆管炎と肝膿瘍を疑う病変を認め,小腸内視鏡を施行し,逆流防止弁の狭窄解除を行ったが,肝門部空腸吻合部に到達できなかった.難治性胆管炎にて肝移植を考慮され,当科紹介となった.当科受診時のCA19-9が7,092 U/mlと高値であり,肝右葉の腫瘍性病変に対して生検を施行し,肝内胆管癌stage IVB(腹膜播種)と診断した.門脈浸潤に対して経皮経肝的ステント留置を行い,化学療法を施行したが,化学療法開始11か月時に十二指腸浸潤の消化管出血で死亡した.胆道閉鎖症の長期管理に悪性腫瘍のスクリーニングは必須である.

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