日本小児外科学会雑誌
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症例報告
経皮経肝的胆道ドレナージが術前の全身状態改善に有用であった先天性胆道拡張症2歳女児の1例
瀨名波 英子久守 孝司船橋 功匡石橋 脩一真子 絢子大倉 隆宏西 健林 彦多川畑 康成田島 義証
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2023 年 59 巻 1 号 p. 44-50

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抄録

症例は,2歳・女児.腹痛・嘔吐・食思不振を主訴に前医を受診.肝外胆管の囊状拡張と高アミラーゼ血症を認め,当科転院となった.黄疸はなかった.入院後,先天性胆道拡張症(CBD)と診断したが,受診1か月前からの腹痛・嘔吐・経口摂取不良による著しい栄養状態の低下を認めた.胆道内圧の上昇が原因と考え,症状緩和と全身状態の改善を目的に,経皮経肝的胆道ドレナージ(PTBD)による胆道減圧を行った.PTBD施行後,症状は消失し,経口摂取を開始した.その後,全身状態は改善し,安全に根治手術を施行することができた.最終的に戸谷分類IV-A型CBDと診断した.CBD小児例に対するPTBDは,高度の閉塞性黄疸や重症胆管炎症例で選択される場合が多く,施術・管理も注意を要する手技であるが,自験例のように胆道内圧の上昇が全身状態悪化の原因と考えられる症例は,根治手術を安全に遂行するうえで有用な選択肢と思われた.

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