日本小児外科学会雑誌
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症例報告
経カテーテル動脈塞栓術を施行した肝芽腫破裂3例の検討
坂野 慎哉文野 誠久加藤 充純高山 勝平青井 重善古川 泰三小関 道夫吉田 和弘田尻 達郎
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2023 年 59 巻 1 号 p. 51-55

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抄録

肝芽腫破裂は,出血性ショックにより,ときに致命的になり得る.今回,肝芽腫破裂に対して,経カテーテル動脈塞栓術(TAE)を施行し,全身化学療法後に肝切除を施行しえた3例について報告する.症例1は10か月女児,顔色不良を契機に診断され,ヘリコプターにより転院搬送となり,緊急TAEを施行した.CITA療法4コース後に肝右葉切除を行った.症例2は6歳男児,肝腫瘍精査中に突然ショックとなって発症し,TAEを行い,CITA療法6コース後に肝左葉切除を行った.1.5年後に局所再発に対して切除を施行した.症例3は2歳男児,転院搬送中にショック状態となり,緊急TAEにて止血をした.C5VD療法を4コース施行後に肝右葉切除を施行した.肝芽腫破裂においては迅速なTAEへのアクセスとその完遂が救命につながる.自験例より,乳幼児例においてもTAEは十分施行可能であり,治療の第一選択になり得ると考えられた.また,止血後は化学療法を優先し腫瘍の縮小を図った後に腫瘍切除を行うべきである.

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