2023 年 59 巻 1 号 p. 67-71
先天性梨状窩瘻に対して化学的焼灼術により新生児期に治療することができた症例を経験した.症例は生後0日の男児.出生前より胎児エコー及びMRIにて左頸部囊胞を指摘されており,出生後のCT及び食道造影検査にて梨状窩囊胞と診断した.生後13日に上部内視鏡にて瘻孔の開口部を視認できたことから全身麻酔下に10%硝酸銀溶液による瘻孔焼灼術を施行,併せて囊胞のドレナージを行った.術後経過は良好で術後2日より経口を開始,7日にはドレーンチューブを抜去した.5か月経過した現在再発なく整容性も得られている.先天性梨状窩瘻に対する化学的焼灼術は新生児でも可能であり,効果的であることが示唆された.