2023 年 59 巻 2 号 p. 185-190
食道アカラシアは小児期での発症はごく稀な疾患である.故に治療法や適切な治療時期については未だコンセンサスが得られていない.今回,高解像度食道内圧検査(HRM)でシカゴ分類type IIと診断し,治療には内視鏡的バルーン拡張術を選択し,段階的に30 mmまで拡張することによって十分な治療効果を得た小児の症例を経験した.症例は8歳女児.繰り返す就寝時の咳嗽と嘔吐を契機に食道アカラシアと診断された.シカゴ分類type IIと診断し,最も治療反応性の良い群と考え,治療は最も低侵襲な内視鏡的バルーン拡張術を第一選択とした.複数回に分けて段階的に30 mmまで拡張を施行した.治療後は症状は消失し,食道造影検査でも食道径の減少が確認できた.Eckardt scoreは治療前4点から治療後0点と改善を認めている.現在,術後約2年が経過しているが再発を認めず,追加治療は不要な状態である.